死んでしまったら、もう、    


3日前、しばらく会っていない小中の時の友達から不在着信があったのを見つけました。
見つけたときにはもう何時間も経っていたものだったので、メールで「ごめんー。何ー?」と用件を訊いたところ、これまた小中時代友達だった、S君のお母さんが亡くなった。という内容でした。僕はてっきり、久しぶりに集まって飲もうとか、そんな感じだと思っていました。全く、浮かれてるんじゃねぇよ。


今日はそのお通夜に行ってきました。



S君。性格は温厚で、大人しめなのに面白くて、中学校のサッカー部ではキャプテンを務めていました。そして彼は、俺が出会ったひとの中で一番美しい顔を持つ男です。ほんとにマジで掛け値なしにそう言い張れます。


その彼の顔は、焼香の時に少しだけしか見ることが出来ませんでした。僕の会釈に少しだけ応えてくれたその顔は、僕が今まで見たことのないものでした。目の周りは真っ赤で、すごくやつれていました。彼を見るのは成人式の何日後かに飲んだとき以来、2年振りでした。小中のときは、よく一緒に遊んでいたのに、もう2年も会っていなかったのだなぁ。



それから僕は、あの彼の悲しい顔を思い出して、こう思った。
死んだのが君でなくて、良かった。
通夜の席で、僕は色々な人に会った。ほとんどが、もう何年も会っていない人たちで、もう会うことはないのかもしれないなとさえ思っていた人たちだった。でも、また会うことが出来た。こんな場所なのだけれど、思いがけず、また会うことが出来た。そしてそれは、S君がもう彼のお母さんに会うことが出来ないことと、とても対照的なことだと、思った。
だから、僕はその再会が、とても嬉しかったよ。生きていれば、また逢えるんだ。




だからみんな健康には気をつけて、元気で過ごしていて下さい。そしていつかまた逢おうね。